強火で進め

このブログではプログラム関連の記事を中心に書いてます。

「Android Usability Seminar 2012」に参加して来ました

Android Usability Seminar 2012
http://itpro.nikkeibp.co.jp/android/AUS2012/index.html

Android Usability Seminarという名前ですが今回の内容は以下の様にAppleユーザビリティについての話でした(それをAndroid開発時のユーザビリティに反映しようという事かな?)。

本イベントは、スマートフォンの”デザイン”や“使い勝手(ユーザビリティ)”に注目したセミナーです。デザインの専門家が、アップルのユーザビリティに対するこだわり、使いやすいアプリのユーザーインタフェース、iCloudなどをケーススタディとしたサービスデザインをそれぞれ解説します。

山中俊治さんの講演が聴ける。しかも、無料という事で即応募しました。

多少、メモ書きをしておいたのでここに書いておきます。

  • 雑誌の記事に「Appleのやり方はもう古い」などと書かれたがそんな事は言っていない
  • 学生時代にマンガを描いていた
  • 日産のデザインセンターに勤務
  • フリーランスになってからは「カメラ」「鉄道車両」「時計」「ウィルコムの携帯」「オフィスチェア」「携帯」「ヒューマノイドロボット」のデザインなどを行う
  • 「役に立つものをデザインする」

Suica対応の自動改札の話

  • 企業には技術の感性を待たずに投入したい時がある
  • ユーザビリティテストを行った話
  • 世代バラバラで5人づつ、計25人
  • 最初の読み取り機のデザイン
    • 水平
    • 読み取る部分が凹んでいる
    • 読み取る部分にカードをかざすデザインが描かれている
  • エラーで光っている所に当てる人、機械に見せようとする人がいた
  • 手前に傾斜する様に → ユーザが構えるので方向性が出る

  • 別のパターン。進行方向に沿って手前に傾いてる傾斜 → カードの移動が速すぎる

  • 最終的に出来たもの
    • かざす所には光のリング
    • 13.5°の傾き
    • 「ふれて下さい」の表示
    • 警告表示は離す
  • 13.5°は内部構造的な限界も含めて考慮して決められた数値。もしかしたら、ベストな角度では無い可能性も有る
  • JRには「この角度は全国で共通にして下さい」と強くお願いした。地方ごとに角度が異なる様ではユーザが戸惑う

おサイフケータイの話

  • 開発当初は読み取った結果を携帯に表示するなど何でもディスプレイに表示していた
  • 何をやっても上手くいかない。試行錯誤するうちにリーダー・ライターが重要な事に気づく
  • 音に苦労した。それまでの機械はエラーが発生したらビーという音が鳴っていた。
  • これではユーザは怖がって2度と使ってくれない

OXOの話

  • キッチン用品の会社、OXO(オクソ)の話
レードル(お玉)

OXO SSサービング レードル

OXO SSサービング レードル

  • 日本で売れない → 日本人とアメリカ人で使い方が違う
  • 日本人 → 小さい器にゆっくりと注ぐため、箸を持つ様にレードルを持つ(つまむ)
  • アメリカ人 → テニスラケットを握る様にしっかり握る
  • ローカライズが重要
トング

OXO トング プレシジョン 1070223

OXO トング プレシジョン 1070223

  • 日本 → ピンセットを扱うように使う
  • アメリカではチキン1つを握れる様とても広く広げる事が出来る
大根おろし

OXO 大根おろし器 グレーター

OXO 大根おろし器 グレーター

  • OXOはじゃがいものピーラーで成功した会社
  • 日本での同じ様な位置の道具で有る「大根おろし」を売りたい
  • 大根おろし」は日本のどこの家庭にも2、3個有る
  • 市販されているものは大根を擦っていると途中、途中で大根を回転させないと歯の上を滑って上手くおろせない
  • 昔ながらの職人が作ったものではこの現象は発生しない → 職人が歯を手作業で立てているため自然とランダムに歯が並んでいる為にこの現象が発生しない
  • 取手が付いているものが多いがその部分は使われていない
  • 歯の近くを押さえないと安定しないため
  • 意図的に歯をランダムに並べぶ様に作成
  • 歯が規則正しく並んでいたのは最初に機械で大根おろしを作っていた頃の制限 → 現在はランダムに並べる事が可能
  • しらみ潰し → やらざるを得ない
  • スロープの角度を工夫して大根は流れず、水だけを捨てれる
  • 意外にスペースを取るため立てれる様に

ユーザービリティテストの肝

  • 開発の初期に行う
  • 少ない人数でも良い ← ヤコブ・ニールセンが言っている
  • 5人もやれば9割の問題がみつかる
  • 多くの人にテストするより、色んなプロトタイプを作って試す方が重要
  • その為、変更が容易なプロトタイプを作る事が重要
  • 周到に準備をする → ユーザは直ぐにヘトヘトになってしまう
  • 予想外大歓迎 → 開発の最後に「これでOKか?」とハラハラしているのは間違い
  • クライアントを巻き込む → 会議で想像で議論してはダメ。意外な使い方をするのを実際にみてもらう(報告だけでは「えっ、流石にそんな事はないでしょ?」などとなる)。キーマンに参加してもらうのが重要

初代MBA(Mac BookAir)やiPhoneなどApple製品を分解した話

  • MBAの底の部分のネジ穴は斜めに切ってある


  • 一般的な作り方では垂直にネジ穴を切るのでこの様なネジ穴は作れない → Appleは専用の機械を作っている
  • Appleはソリッドの固まりとしてコンピュータをデザインしている
iPhone 3G
  • 内側に線 → 内側を機械で削っている → 3Gの裏面は曲面で有る為、一定圧で作らないと凹みやすい
  • まず、大まかな型で作成した後に内部を削っている
  • 表面に綺麗な曲面を作るためにここまで拘っている

山中俊治の「デザインの骨格」 » 奇人天才シリーズその5.5:檜垣万里子さん
http://lleedd.com/blog/2010/07/21/mariko_san/

山中俊治の「デザインの骨格」 » いまさらながらiPhone 3Gのボディの秘密に気がつきました
http://lleedd.com/blog/2010/07/19/iphone3g_toolmark/

iPhone 4G
  • コンマ3ミリのプラスチックが付いている
iPod nano
  • 枠に回り込んだ位置が削られている → NCという機械で行なっている
  • NC → 何千人もの人が機械にセットしている
Apple Remote
  • 繋ぎ目が無い
  • コントローラの部分をアンダーカット可能な機械で削った後にそこに基板を差し込んでいる
  • 「無垢」な固まりとしてのハードウェア
  • 塗装無し
  • ドラフト角無し
  • パーティングラインが最小
  • 曲面に沿ったネジ穴
  • NC掘削加工による量産
  • 赤ちゃんがiPhoneを使いこなす動画
  • 赤子が使える為の条件
    • レイテンシが無い
    • 最小のハードウェアボタン
    • 恣意的な意味付けが無い
    • その上に展開される自由な著作物
  • 赤ちゃんはiPhoneを使いこなしたが1つだけ問題が → ホーム長押し → アプリ削除をやってしまう
  • 警告が出ても喜んで押してしまう

Next Step 生き物らしいデザイン

  • 人の方を見るだけのロボット → 人間はそれだけの動作にも関わらず、知性を感じる
  • ゆっくりと布の表面あちこち尖って行くロボット
  • 触れると素早くシュッと凹む
  • これだけで昆虫の様な動きに
  • これだけの仕組みにも関わらず、見に来た人は長い時間飽きずに遊ぶ
  • 金属が回転しているロボット、互いがぶつかりそうな時は自分の進行方向を維持しながら避け合う

※【筆者注】これだけでイソギンチャクの様な有機的な動きをしていました。

  • 見に来た人はセンサーが有るのではないかと触っていた

質疑応答

  • Q : Apple製品以外に分解したく成る様な製品は有りますか?
  • バン&ニールセンのスピーカー(※ググッても出てこないのでバン&ニールセンの部分は聞き間違いかも?)「Bang & Olufsen」では?との情報を頂きました。恐らくこちらで合っていると思います。情報ありがとうございました。

製品コレクション - Bang & Olufsen
http://www.bang-olufsen.co.jp/

  • カメラ
  • 日本の製品 → メカニカルな部分は感銘を受ける事が多い
  • Q : 90年代にAppleで働いていたそうですがその当時の話をして下さい
  • ドローイングボードという全てが手書き風に見えるOSを作成していた
  • プロジェクトは途中で中止に
  • 開発者がそのままお蔵入りは残念だと思ったのか、ベータバージョンが流出
  • 意外に使った人が多いのでは

デザインの骨格

デザインの骨格

関連情報

人と機械の新しい関係を作るUIを求めて---ユーザビリティテスト、実世界GUI、デザイン思考:ITpro
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20120205/380142/